「何でもいい。ITをキーワードに新規事業の策を考えて欲しい」30 代に差し掛かった頃に赴任した電子部品メーカーで、最初にこう依頼されたときは驚きました。当時の私は、ソフトウェアのみを経験。お客さまは、電気のプロフェッショナル。異なる専門分野の柔軟な視点から、会社の将来を担う新規事業を私に一任するとおっしゃるのです。「さあ、これからどうしよう」それまで数々の開発を経験してきましたが、事業を考えるというのは別次元。悩んだ私は、他の企業に配属されているメイテックエンジニアを訪ねて、その業界のトレンドを情報収集したり、外部セミナーに参加して世の中の動きをつかんだり。共同研究ができそうな大学を探して、全国20~30校まわったこともありました。足を使って、次の時代への扉となる製品やサービスを探したのです。18年間所属した中で生み出した製品は、お客さま先の海外開発拠点と日本拠点をウェブで一括し、リアルタイムな情報交換ができる効率化システム。「世の中が変わるような電源」をテーマに大学と共同研究した電源回路。電力削減が可能になる新発想の液晶テレビを、家電メーカーに売り込みに行ったこともありました。その過程で学んだのは、「大事なのは、どんなものをつくりたいかであり、ソフトウェアや回路はそれを実現させるための手段でしかない」ということ。エンジニアとして、もっと大きな視点から物事を考えられるようになりました。
「エンジニアとしての経験を、メイテックの今後を担うプロジェクトに活かせないか」入社30年目を迎えた今年、経営層と話をする機会がありました。私はこれまで、お客さまの事業や課題に寄り添い、よりハイレベルな仕事を任される「プライムエンジニア」という立場で仕事をしてきました。お客さまからの期待も要求値も高いけれど、面白くて対価も高いクリエイティブな仕事に携わることで、豊かなエンジニア人生を歩んでこられたと思っています。この領域の仕事を、もっと多くのメイテックエンジニアに経験してほしい。お客さまに対しても、プライムエンジニアの存在をもっと身近なものにして、価値提供の実現をしたい。そんな会社の想いに共感し、2020年に新たに発足した「プライム戦略」のメンバーとして、変革に挑戦することを決めました。そのために、長年過ごした地元を離れ、単身東京に引っ越します。メイテックは、エンジニアが自分で人生をデザインできる会社。結婚して子どもが小さかった頃は、転勤だけは避けたかった。家族と暮らして、子どもの成長を見守りたかったため、地域性を優先しました。しかし、子どもたちが成長して巣立った今、勤務地にとらわれず、思う存分自分の枠を広げるときがやってきました。変革のときを迎えたメイテックで、技術力・人間力を持ったエンジニアの育成に、どれだけ貢献できるのか。大きな挑戦に、武者震いしています。